私にかけられた不当な嫌疑と、勝山市議会における異常事態について -その4-
前回に引き続き、問題視されている事柄を説明いたします。
■(疑惑2)嶺北ふるさと創造観光協議会は架空の幽霊団体ではないのか?
結論から申し上げるならば、
①嶺北ふるさと創造観光協議会は、架空の団体ではありません。
②ただし、現在は事務局長しかいない任意団体です。
③なぜなら、必要性がないからです。
これを理解していただくためには、現在の広域観光の問題点について押さえておかなければなりません。ここを押さえない限り、われわれがなぜこんな組織を作ったのかは理解困難です。
■現在の広域観光の問題点
これまで行政同士の広域観光協議会は様々に作られてきました。例えば、勝山市と大野氏は広域行政事務組合という形で、広域観光を進めています。
この枠組みには、2つの問題点があります。
ひとつは、毎年負担金・会費が発生する点。要するに、協議会なり事務組合なりを作ってしまったからには、予算をつけないといけなくなるのです。いかにもお役所的な発想です。
そして、予算をつけたからには、それを消化しなければならない。これもお役所的発想です。毎年、毎年、観光パンフレットが印刷されているのは、この予算消化のためでもあります。
もうひとつは、自由度がなくなる点です。
勝山市と大野市が事務組合を作って運営しています。ならば、勝山市と永平寺町とで組みたい場合はどうすれば良いのでしょうか?
新しい事務組合なり観光協議会なりを起ち上げなければなりません。そして、また負担金を支払って、予算消化の事業を延々と行う羽目に陥ります。
ならば、いっそのこと県内一円の自治体が全部入る観光事務組合なり、広域観光協議会なりを作り、その中で「今回は勝山市と小浜市で共同で事業を行おうか」「今回は、福井市と鯖江市と坂井市で事業を行おうか」という仕組みはできるのでしょうか?……無理です。なぜなら、負担金を支払っている関係上、勝山市の負担金を使って、福井市と鯖江市と坂井市が事業を行うことはできません。
行政にはないスピード感あふれる観光協議会は、できないものか。
自治体の枠を超えた観光協議会は、できないものか。
民間事業者や観光協会や商工会や、いや、いっそのこと観光に興味のある個人でも良い。そういった人々が自由に出入りできる観光協議会はできないものか。
そういった想いを持ち続けていた私が辿り着いたのが、嶺北ふるさと創造観光協議会の形でした。
■観光プラットフォームという概念
嶺北ふるさと創造観光協議会という任意団体は、従来の発想と真逆の方向性で作られました。
①会費・負担金はなし。
②観光プラットフォームとしての役割を果たす。
ここで重要なものは観光プラットフォームという考え方です。
従来の発想は、
①組織をしっかりと作る。
②会費を集めて予算化する。
③予算にあわせて事業をする。
というものでした。
観光プラットフォームは、この発想を逆転します。
①目的の下に事業を計画する。
②事業に参加する人々と、事業を組み立てる。
③組織を使う。
この「組織を使う」というところがミソです。要するに嶺北ふるさと創造観光協議会とは、事業の受け皿としてのみ存在するのです。
建設業等の方々ならばおわかりでしょうが、JV(企業共同体)というものが存在します。ひとつの麹を施工する際に複数の企業が共同で工事を受注し、施工するための組織体です。勝山市の総合体育館は5社によるJVで工事がなされています。そして、このJVには代表となる企業が存在します。
そういったJVを組むという仕組みが広域観光ではありません。例えば、福井市観光協会、永平寺観光物産協会、あわら商工会、そして多くの民間企業がひとつの事業をしようと企画した場合、JV(企業共同体)のような仕組みがないのです。
事業の受け皿となる組織体が欲しい。
この組織体が嶺北ふるさと創造観光協議会でした。
嶺北ふるさと創造観光協議会が、なぜ観光プラットフォームと呼ばれるのか。
元々、プラットフォームとは駅にある電車を待つ場所を指します。
電車は「事業」であるとお考えください。
「事業」が始まる前まではプラットフォームには誰もいません。
ここで、広域観光事業をしたい人が運転する電車(=事業)がプラットフォームに入ってきます。
すると、この事業に参加する企業や団体・組織、個人の皆さんがプラットフォームに集まってきます。
事業に携わる団体・企業・個人の方々は「事業列車」に乗り、「事業列車」は出発します。つまり、事業が開始されるのです。
そして、「事業列車」が出発した後には、プラットフォームには誰もいなくなります。次の「事業列車」が入ってくるまで、プラットフォームは空のままです。
観光プラットフォームの考え方は、「事業」が中心になります。プラットフォームの上で電車に乗る人、つまり「事業に携わる人々」が嶺北ふるさと創造観光協議会の会員となり、事業が終了した後に会員を外れます。
プラットフォームの利用料は無料です。
つまり、嶺北ふるさと創造観光協議会には会費もなければ負担金も存在しません。
ただし、プラットフォームには駅員さんがひとりくらいはいなければならないでしょう。
その役割を果たしたのが私でした。
国の事業では2本の「事業電車」が走ったことになります。
ひとつは、金沢駅PR事業という名の事業電車。
もうひとつは、モニターツアー事業という名の事業電車。
■嶺北ふるさと創造観光協議会には、なぜ会長がいないのか?
協議会を名乗る以上、会長を置くべきだと当初は考えていました。しかし、途中でとあることに気づいたのです。
「会長を置いて権限が集中した場合、利権を産む構造にならないだろうか?」
嶺北ふるさと創造観光協議会は、事業をやりたい人々が参加する場です。そこで
「嶺北ふるさと創造観光協議会を通さなければ事業に参加させない」
などと言い始めたら、それは利権です。
そのような構造を作るわけにはいかない。それで会長を置くことは止めました。
自由に参加できていつでも自由に退会できる。会費もなければ負担金もない。そのような組織には、ボランティアでやっている事務局だけがあれば良いのです。
ゆくゆくは、福井県観光連盟に事務局をお願いしようとも考えていましたが、もはやその必要もないでしょう。これだけ新聞紙上で嶺北ふるさと創造観光協議会が叩かれたのでは十分に機能できません。嶺北ふるさと創造観光協議会は志半ばにして、その役割を強制終了させられました。
残念です。
(注)
この観光プラットフォームの考え方は、JTBプロモーションが国に対して提出した報告書にも記載されています。
「嶺北ふるさと創造観光協議会の会長を言ってみろ!」
「嶺北ふるさと創造観光協議会の役員名簿を出せ!」
と主張していた一部の議員さんたちは、報告書を読んでおられないようです。
よしんば、報告書を読んでもわからないのであれば、私に聞けばすんだ話です。
「観光プラットフォームってなんじゃ?」
市政報告会では、10分もお話すれば観光プラットフォームの考え方は市民に理解されました。特に難しい話でもないのです。
■嶺北ふるさと創造観光協議会は、事業終了後も存続していたのか?
嶺北ふるさと創造観光協議会は、国の事業を終了した後も存続していました。今年の3月以降にも観光プラットフォームを用いた事業が始まる予定でしたが、残念ながらその事業を開始することはできなくなりそうです。
勝山市議会の不当な議論により、1700万円もかけて作り上げた金沢とのパイプが切られましたので。
■(疑惑3)議長の職権乱用について
議長名刺をばらまいた、議長公用車を乗り回した……これらの行為が「議長の職権乱用である」として問題視されています。
ちなみに、議長公用車を用いる際には、勝山市議会事務局を通して相手方にアポイントメントを取ります。
「あわら市と勝山市との広域観光について、あわら市長のご意見を伺いたいので、〇〇日の〇〇時にお会いできませんでしょうか」
用件を述べてアポを取り、その結果として公用車を用いることができます。
金沢駅PR事業にお土産物を持っていく等の用事のために公用車を用いることはできませんし、あってはならないことです。
「議長名刺をばらまいた」との批判は結構なのですが、「ならば、統一的なルールを示してほしい」というのが私の正直な気持ちです。
「確かに、議長の職にあるものが名刺をばらまくことは不謹慎だ」というご意見も市民の中にはあります。他方で、「議長名刺ばらまいてでも何でも良いから、市民のために仕事のひとつでも取ってこい」というご意見も市民の中にはあります。
どちらの意見が正しいかがわかれるようなモノは、本来倫理条例違反の議論をする対象にすべきではありません。そこには統一的なルールがないからです。
「議長名刺を持って回って良いのは、どこからどの範囲なのか」という統一的なルールすらないのに、ルール違反を問うこと自体がナンセンスなのです。