私にかけられた不当な嫌疑と、勝山市議会における異常事態について -その3-
■私の関わった事業のどこが問題視されているのか
前回は、勝山市議会の議論とも呼べない議論の流れを見ていただきました。
今回は、われわれが行った事業のどこが問題視されているのか。その点を具体的に見ていきましょう。
4月19日以降に開いている私の市政報告会で説明している内容と重複するところが多々ありますが、それはご容赦ください。
■(疑惑1)松村は国からの予算をわたくししているのではないか?
最初にかけられた嫌疑は、「松村は国からの予算をポケットに入れているのではないか」ということでした。
結論から申し上げれば、それはありません。私はそういったことをしたことがありませんし、これからもするつもりがありません。
加えて、この事業はそれを許さない仕組みになっています。
まずは、この事業の流れをご覧いただきましょう。
2年前の2月。国(観光庁)から「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」と題して、全国的な公募がかかりました。
北海道から沖縄に至るまで、全国から613件の応募がありコンペが開かれ、最終的に我々の企画を含めて全国で78件が採択されます。私の記憶では、福井県からは県観光連盟やあわら市、越前市を含め5つの企画が手を上げたはずです。県内からの採択は1件のみでした。
(注)
余談ですが「議長名刺を持ってまわって、国から金を引っ張ってきた」と言う議員もいますが、国のコンペを議長名刺出したくらいで勝ち抜けるのであれば、私はあれほど頭を悩ませなかったでしょう。
加えて、「官民協働した……」との名前をとらえて、「お前のやった事業には自治体が入っていないではないか。国は『官民協働した』と言っているのにお前の事業のどこに『官』が入っているのだ」などと、訳のわからないことを主張する人までいます。そもそも国の趣旨と違うのであれば、コンペの段階で落とされて採択されていないでしょう。そして、「官民協同した……」の「官」とは国のことです。国と民間とでやりましょう!という意味ですので、念のため。
加えて、ここは重要な点ですが、この事業は補助事業ではありません。委託事業です。委託事業とは「本来この事業は国が直接やるべきだが、地域の実情を国もすべて把握しているわけではない。したがって、代わりに皆さんが国の代わりにやってください」という意味です。
後々、この委託事業の意味がきわめて重要になってきます。
なぜなら、勝山市は国を怒らせる羽目に陥ったから(詳細は後述します)。
同時に国(観光庁)は、もうひとつの公募を実施しました。採択された事業78地域のすべてを国が直接監督することは事実上不可能です。そこで、各々の地域の監督・資金管理をする団体・組織を公募したのです。
われわれの事業を監督するために公募に手をあげたのは、JTBプロモーションでした。
「以後、事業執行にあたってはJTBプロモーションの指示に従うように」と国からの指示を受け、いよいよ事業がスタートします。
(注)
あたかも、「松村がJTBプロモーションを引っ張ってきた」「JTBプロモーションと松村は癒着している」かのように騒いでいる市議がいますが、JTBプロモーションは、国に対して公募に手を上げて、国が認めた会社です。私が引っ張ってきたわけではありません。
さて、われわれとJTBプロモーションがタッグを組んで事業は遂行されます。この事業のスキームをまとめると下の図のようになります。
われわれは本事業の遂行にあたって、嶺北ふるさと創造観光協議会という任意団体を起ち上げました(この任意団体については後述します)。
私は、この嶺北ふるさと創造観光協議会の事務局長を担当していました。つまり、嶺北ふるさと創造観光協議会はわれわれであったと認識していただければ結構です。
さて、金沢駅PR事業やモニターツアー催行などの事業を行うにあたっては、さまざまな民間企業の方々が参加していただきました。印刷会社、コンサルタント業者、人材派遣会社等々、多くの民間企業の方々がいます。
①国
②嶺北ふるさと創造観光協議会
③JTBプロモーション
④事業に携わった民間企業の方々
これら4者の関わり方を押さえておきましょう。
まず、嶺北ふるさと創造観光協議会は事業そのものの設計図を描きました。企画という形で国に対して提案を行っています。
国はJTBプロモーションに対して
①事業の監督
②資金管理
③事業の最終的な報告書を国に提出する
ことを事業委託しました。
ここで重要なことは、JTBプロモーションと民間企業との関係です。福井の広告代理店、金沢の人材派遣会社、印刷会社等々、この事業に携わった多くの民間企業は、必ずJTBプロモーションと契約することになっていました。いかなる企業、団体、組織であれ、この事業に携わって金銭的支出を受ける者はJTBプロモーションと契約をして、支払いはJTBプロモーションからされること……これが国とJTBプロモーションとの間で結んだ委託事業契約です。
われわれは国に対して企画提案をしました。その中には事業予算書も当然に入っています。したがって、この事業のこの部分にどれくらいの支出がなされていのかは、およそ見当はつきます。ですが、具体的な契約金額等は一切知らされていませんし、われわれが知る必要性もありませんでした。
そして、ここが最も重要な点ですが、資金管理をする組織としてJTBプロモーションは国と委託事業契約を結んでいます。つまり、通帳はJTBプロモーションにあったということです。
われわれ嶺北ふるさと創造観光協議会は、具体的な要望を民間企業に出しました。
「ここのパンフレットの色は、もう少し青色を強めにしてください」
「販売スタッフの接客態度は、もっと柔らかめになりませんか」
といった具合にです。
このようなスキームで事業を行い、最終的な報告書はJTBプロモーションがまとめ国へ提出されました。そして精査された後、国の了解を得ています。
ちなみに、私は全くのボランティアです。
「事務局長をしていたのだから、事務局経費をもらっていたに違いない」
証拠もなしに「違いない!」という思い込みで糾弾されても、こちらも困るのですが、もらっていないものはもらっていないのだから仕方がありません。
(注)
この事務局の認識が、一部の議員先生方には理解できないようです。これは後述いたします。
(注)
「事務局長をしていたのだから、事務局経費をもらっていたに違いない」と騒ぐ議員の中には、「JTBプロモーションに、過去一年分の通帳のコピーを持ってこさせろ」とまで主張する人もいます。
正直、その常識のなさには驚きます。確たる証拠もなしに、民間企業に対して「お前の会社の過去1年分の通帳のコピーを出せ」とは。
国税庁や警察が、確たる証拠もなしにそのような無茶な要求をしますか?
勝山市議会とはそこまで偉い組織なのでしょうか。
もしも、それがまかり通るのであれば、勝山市議会が望むならば、市内の全ての民間企業は「過去一年分の通帳のコピー」を提出しなければならないという事態が発生します。
「そのような要求を民間企業にしたならば、勝山市議会に対して訴訟を起こされても仕方ないですよ」とは正直な感想です。
いずれにせよ、上記の事業スキームの中で嶺北ふるさと創造観光協議会が資金管理をすることはありませんでした。
唯一、この事業スキームの中で、私にお金がまわるとしたならば、
「民間企業者から松村がキックバックをもらう」ことしかありえません。
おそらく、何かあるに違いないと踏んだのでしょう。
「叩けばホコリの出ない議員なんてひとりもいない」
と豪語した議員がいました。要するに
「俺はやってるのだから、お前もやっているのだろう」
という意味なのでしょう。さすがに頭に来たので、
「叩けばいいだろ、叩いてみろよ。自分がやってるから他人もやってるはずだと思うなよ。叩いてもホコリの出ないヤツだっているんだ」
おそらく彼には理解できないのでしょう。
「他人を喜ばせるために仕事をするのだ」と考えている議員がいることを。
自分の給料は市民の血税で成り立っているのだから、議員の地位を利用して企業等からお金をもらうことは許されない」と本気で考えている議員がいることを。
この議論は、最初はこの疑惑から始まりました。
「1700万も国から引っ張ってきて、懐に入れていないはずはない」との迂闊な思い込みによるのでしょう。
ところが、叩いても叩いてもホコリが出てこない。
出てくるはずがありません。
もらっていないんだから。
そして、疑惑は次の段階へと進みました。
余談ですが、「松村はキックバックをもらったに違いない」という思い込みは、勝山市に大きな実損を与えることになります。(詳細は後述)