松村治門講演録 「想いを伝える」 vol.3
■「想い」を伝える
いきなり話が飛びますが、「絶対に死なない生き物」がこの世には存在します。
何だと思います?
ウィルスです。
ウィルスが生物なのかどうか。これは学者の間でも、未だに決着のつかない問題なのですが、それはさておき。ウィルスは自分を分裂させます。ひたすら自分のコピーを作っていきます。ですから、自分が死んでも代わりの自分がいます。
しかし、我々はそうではありません。人類の祖先は、子を産み、育てるという方法を選択しました。ここで面白いのは、子を産み、育てるだけならば、人間の寿命は30歳くらいで十分だということです。実際に1900年の人口統計を見ると、日本の平均寿命は44歳になっています。これは、乳幼児死亡率が高かったせいもあります。
しかし、そんな中でも人類は文字を発明し、自分たちの記録を次の世代に残そうとしました。記録文学で、絵画で、彫刻で、何とかして自分たちの生きた証を残そうとしたのです。
「想い」を伝えることができるのは人だけです。確かに想いを伝えることは難しいことです。ですが、あなたの「想い」を伝えることのできる人は、あなた以外にいません。周囲の人に、次の世代に、あなたの「想い」は様々な形で伝わっていくのです。
話もいよいよ最後に差し掛かりました。
終わりに2本の動画をご覧いただきます。
まずは、寿司屋のコマーシャルです。
もうひとつ、見ていただきましょう。これは日本のものではなく、タイの生命保険会社のCMです。
どうでしょうか。
みなさんは誰にあなたの「想い」を伝えたいと感じましたか。
ぜひ、その方にあなたの「想い」を伝えていただきたい。これは私からの心からのお願いです。もしも、お家に戻られて、皆さんがだれか一人。奥さんでもお子さんでも、仏壇の中の遺影でもいい。だれかに「想い」を伝えていただければ、私の拙い話も無駄ではなかったなと思います。
長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。とりとめもない話で申し訳ありませんでしたが、ご容赦ください。
ありがとうございました(拍手)。