【雑感】 「お得なふるさと納税生活」を後押しして、勝山市をPRできないものか
TV番組で注目を浴びた元プロ棋士の桐谷さんは、株主優待で生活している人です。
そして、最近注目を浴びているのが「ふるさと納税でお得な生活」を送るスタイルだそうです。
■ふるさと納税とは?
そもそもふるさと納税ってなんでしょう。
この制度は、わが福井県の西川知事が提唱したものです。ここには「地方で生まれて地方で育った人々が都会へ出て行ってしまう。ならば、都会にいる人々が地元へ何らかの還元をしたいと思った時に、税制上の優遇措置を認めて欲しい」との思いが込められています。
そして、この制度は認められ、多くの自治体がふるさと納税による収入を得ることになりました。もちろん、勝山市にもふるさと納税で多額の寄付をいただいております。本当にありがたいことです。
寄付をいただいた人々には、何らかの御礼をするのが人の道というもの。したがって、地元の特産品や様々なサービスを寄付者に対してお返しします。
さて、ここでふるさと納税の控除についてお話ししましょう。
ふるさと納税では、寄付金のうち2000円を超える部分については所得税・個人住民税から「全額控除」されます。
①所得税
所得金額の40%を限度に、(寄付金ー2000円)を所得控除
②個人住民税(基本分)
(寄付金ー2000円)×10%を税額控除
③個人住民税(特例分)
(寄附金-2千円)×(100%-10%(基本分)-所得税率(0~40%)
要するに、寄付金から2000円を引いた額を全額控除しますと。下記の図は総務省が発表しているもので、この図を見ていただければイメージが湧くことでしょう。
ただし、これを無制限に認めてしまうと色々と面倒なことが発生しますので、控除が認められる寄付金の上限は定まっています。だいたいどれくらいまで認められるのかは年収や家族構成等によって変わりますので、概略は総務省のホームページをご覧ください。
控除の対象となる寄付金額は、一般家庭ならば住民税の1割くらいまでが目安のようです。
さて、そこで考えるわけです。
「私はA市の住民である」
「私はA市に年間30万円の市民税を納めている」
「ふるさと納税の控除上限額は3万円である」
「この3万円をB市にふるさと納税することにした」
「この3万円は税額控除される上に、様々な特典がついてくる」
これが、「ふるさと納税でお得な生活」です。
感覚としては「便利なお取り寄せグルメ」みたいな感じでされているようです。
寄付者に対する特典は自治体によって様々です。ふるさと納税ポータルサイトまで出現しているので、詳しくはそちらをご覧ください。
■広報・PRとしての「ふるさと納税」
ふるさと納税は、なにも出身地だけしかできないものではありません。縁もゆかりもない自治体に対してふるさと納税をすることはできます。なぜなら、「納税」という名称を使っていますが、これは「寄付金」だからです。
ただ、
「ふるさと納税を『お取り寄せグルメ』みたいに使うのはいかがなものか」
「本来の趣旨からかけ離れてしまっているのではないか」
というご意見も一方にあることは間違いありませんし、私はその意見も否定しません。
ただ、現実に「ふるさと納税の制度を楽しもう」という人々が増えているわけですから、これを活用してPRをするとの視点も必要かと思うのです。
長野県の下伊那郡阿南町のふるさと納税では、同町でとれたコメを寄付者に送っています。この町の考え方は一風変わっていて、「寄付金と同額のコメを送る」のです。
「寄付金と同額のコメを送ったのでは、町に収入が入らないじゃないか?」と思われるかもしれませんが、阿南町はこの制度を農業支援ととらえたのでした。
つまり、こういうことです。
①寄付者にとっては同額のコメを手にできてうれしい。
(しかも寄付額は税金から控除される)
②コメの生産農家は、JAに卸すよりも消費者価格で買い取ってくれる阿南町に卸す方がうれしい。
③生産農家と寄付者とのつながりができて、農家が直販できる機会も増える。
自治体に寄付してくれる。これはありがたいことです。その寄付金を自治体の振興のために使うのであれば、阿南町のようなやり方もあるのです。
ちなみに阿南町ホームページを見ると、「農業支援を目的としたふるさと納税」としっかりと明記してあります。そして、どうやら今年の受け付けは終了したようです。コメの生産計画いっぱいまで応募が殺到したのでしょう。
どこにでも知恵者はいますね。脱帽です。
山形県の白鷹町では、電話一本で何度でも寄付の申し込みができます。しかも、寄付申込みの代筆作業までお役所がしてくれます。
ふるさと納税の特典は、地元の産品だけではありません。ホテルの宿泊、イベント等、サービスは多岐にわたります。そういったサービスを人々に提供し、勝山のPRをするとの視点も必要になるのでしょう。