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月下独酌Ⅴ

前勝山市議会議員 松村治門のブログです。 ご意見は、harukado.0501@gmail.com まで。お待ちしております。

【市政】恐竜博物館前駐車場の有料化について

先だっての読売新聞において、県立恐竜博物館前の駐車場の値上げ問題が報道されました。まずは、この読売新聞の記事をご覧いただきましょう。

 

来館者数の増加が続く県立恐竜博物館(勝山市)の駐車場の有料化を巡って、土地を所有する勝山市と施設を運営する県の意見が対立している。渋滞対策費に充てるために有料化を検討している市と、来館者の減少を心配して無料を続けたい県の妥協点を探る協議の終着点はまだ見えていない。(井上敬雄)

 同館は「恐竜エキスポふくい2000」に合わせて2000年7月に同市村岡町寺尾の長尾山総合公園に開館。駐車場を含む土地は市が県に提供し、県が同館を建設・運営している。

 02年度の入館者数は23万8076人だったが、全長15メートルのカマラサウルスの実物全身骨格化石など展示の充実やテレビ朝日系で13~14年に放送された「獣電戦隊キョウリュウジャー」などの影響で人気が沸騰。13年度は70万8329人と過去最高記録を更新し、今年度も70万人を超える勢いだ。

 しかし、大半の来館者が車で訪れる上、アクセス道路が1本しかないことから5月のゴールデンウィーク時や盆など夏休みの時期には渋滞が3キロ以上に及ぶこともあり、近くの住民から苦情もでている。

 年間40万人の来館を想定して計画を立てている市は今夏、駐車場を拡張して390台増の約1300台の車を収容できるように改修。近くのJAテラル越前勝山中支店に車を止めてもらいシャトルバスで運送する「パークアンドライド」も年間十数日実施している。

 さらに、市は国の補助も受けて来年度から5年計画でアクセス道路やトイレなど同館周辺の再整備を行う方針だが、松村誠一副市長が3月に市議会で「渋滞対策の経費が増大しており、駐車料金の徴収も研究課題の一つ」と答弁。別の市幹部も「数年後には有料化は避けて通れない」と話すなど再整備費用の一部を有料化でまかないたい考えだ。市議からも年間9000万円程度徴収できるとの意見も出ている。

 一方で、県ブランド営業課は「こちらが話す立場ではない」としながらも、「9割を占める車での来館者へ悪影響が出ないよう慎重に対応してもらいたい」と自家用車での来館者への影響が出る可能性を指摘し、無料を続けたい方針を堅持。同館のある研究員も「無料駐車場の維持は死活問題。来館者が勝山市の他の施設を訪れないことへの意趣返しもあるのでは」と話す。

 市と県は再整備について月1回程度協議しているが、着地点は見えていないのが現状だ。

 (読売新聞 10月12日)

 

 

経過について

まず、いくつかの事実を確認していきましょう。

 

県立恐竜博物館前の駐車場は、勝山市の所有であるため勝山市が管理しています。これは長尾山総合公園が勝山市の所有であるためです。

「なぜ県立恐竜博物館の駐車場が市営なの?」

これは恐竜博物館が建つ長尾山の整備計画に関係があります。元々の長尾山総合公園の整備計画では、公園内に総合体育館建設やグランド整備が予定されていました。巨額の工事費用のためこれらの建設は取りやめとなりましたが、結果として県立恐竜博物館のみが建つ形になります。つまり、本来の構想で言えば様々な建物のひとつとして県立恐竜博物館が存在していたのです。

 

したがって、県立恐竜博物館の建物及びその内部においては県が県費で運営し、それ以外の部分は勝山市が市費で負担するといったスタイルがこれまで取られてきました。博物館前の駐車場の整備、公園内の整備は勝山市が負担してきたのです。

他市町の議員からも「勝山市は県の補助もらってうまくやってるね」と言われるので事情を説明することがあるのですが、大概は「えっ!そうなの?」と驚かれます(苦笑)。

これまで勝山市は長尾山総合公園を営々と整備し続けました。もちろん、そこには国等の補助金もいただいておりますが、そういった補助を全て差し引くと約10億円の負担を勝山市が純粋に負担しています。2万5000人の自治体規模で考えるとこれは大きな支出と言えるでしょう。

 

「恐竜博物館に100万人の来館者数を!」との福井県の方針に基づき、県は様々な施策を講じ、結果として来館者数は増加しました。これ自体はとてもありがたいことなのですが、来館者数の増加に伴い、収容能力の点で2つの問題が徐々に露わになります。

ひとつは、県立恐竜博物館自体の収容能力の問題です。元々の設計が予定した人数をはるかに超える来館者を、県立恐竜博物館が収容できなくなっています。

もうひとつは、来館者数に駐車場の収容能力が対応できない点です。新たに駐車場を建設し、これで一息つけるとは考えていますが将来的な増加予想に対応するためには更なる駐車場の増設が必要になることでしょう。

 

駐車場の有料化の議論が始まる

このような流れの中で駐車場有料化の話題が市議会内でも上がるようになります。

 

議論の骨子は、

 ①恐竜博物館を訪れる人々の顧客満足度をあげなければならない。

 ②そのため駐車場整備を含む長尾山総合公園そのものの

  再整備の時期に差し掛かっている。

 ③そのための財源をどこに求めるのか。

 

この議論から駐車場有料化の話は進みます。ただし、ここで重要なことは我々も全ての駐車場を有料化せよと主張しているのではありません。恐竜博物館前の第一駐車場のみを有料化するにとどめ、それ以外の全ての駐車場は無料化のまま運営することを主張しています。

また、有料駐車場に駐車いただいた来館者に対しては出口で駐車料金を支払う際にオリジナル恐竜カード「ダイナソーカード」を配る等、顧客に対する負担感を減らす工夫を種々考えています。

 

 恐竜博物館前の駐車場のみを有料化した場合の勝山市が得られる収入は、試算では年間9500万円です。これを市の一般会計に組み込むことなく、特別会計を立ち上げて「長尾山で得た収入は長尾山の改善のために使う」予算とします。

 

 

ちなみに、冒頭の読売新聞の記事中では福井県は有料化に憂慮を示しています。駐車場の有料化によって入館者数が減るのではないかとの理由によるのですが、一昨年に県立恐竜博物館の入館料を一方的に値上げしたのは福井県でした。その結果として、入館者数は減少したでしょうか?現実には入館者数は増加し続けました。

 

当時の新聞記事を見てみましょう。 

 福井県は、県立恐竜博物館(勝山市)による大型恐竜の化石購入費用を回収するため、同館の入場料を値上げする。関係条例の改正案を12月定例議会に提出、可決されれば、化石の公開に合わせて来年3月から施行する。県ブランド営業課によると、公立博物館が貴重な資料収集のために先行投資し、入場料の増額分で回収する試みは全国的にも珍しい。
 購入したのは、ジュラ紀後期(約1億5000万年前)に生息した世界最大級の草食恐竜「カマラサウルス」の化石。同博物館は2009年度、展示内容を向上させるため、米国から全身骨格化石を2億7800万円で購入し、現在、発掘されたままの岩石から化石を取り出して、全身骨格の組み上げまでを一貫して行う「プロジェクト・カマラサウルス」を進めている。骨格組み上げの一部公開などを経て、3月23日から常設展示する予定だ。
 これに合わせ、大人の入場料を500円から700円に、年間パスポート料金を1500円から2000円に、団体料金(30人以上)を400円から600円に、それぞれ値上げする。小中学生、高校・大学生の料金は、教育施設という観点から据え置く。
 同博物館の年間入場者数は約50万人。これを年間60万人に伸ばすことにより、化石の購入費は約3年間で回収できる見込みだという。
 同課は「他の公立博物館では、財源確保が困難なため展示内容の更新ができず、結果として陳腐化してしまうという課題があった。回収後は、魅力向上のための新たな投資に充てたい」と話している。

時事通信 2012年12月7日)

 

「入館料の値上げは、駐車場料金の有料化とは次元が異なる」
「カマラサウルスの購入というコンテンツの魅力を高めるために、我々は入館料を値上げしたのだ」

と県は主張するのかもしれません。

 

いいえ、駐車場料金の有料化も同じことです。我々は駐車場料金をいただき、それを長尾山総合公園の開発に充てて、より魅力的な公園整備のために用いようというのですから。

しかし……冒頭の読売新聞記事内の恐竜博物館職員のコメントも酷いものですね。

駐車場の有料化は「来館者が勝山市の他の施設を訪れないことへの意趣返しもあるのでは」ですって?